山岳スキー(バックカントリースキー)の装備について

 大自然の中をフィールドにしている山スキーでは、それに対応するゲレンデスキーとは少し違った装備が必要です。山スキーの装備についてうんちくを語れるほどエキスパートではありませんので、自分自身の使っている装備を紹介します。



  山スキー板とビンディング
 山岳スキーに使われるスキーには、登りは踵が上下して滑るときには固定するいわゆる「山スキー」(アルパインツーリングスキー)と、滑るときも踵を固定しない「テレマークスキー」があります。テレマークスキーを使用する会員も増えてきましたが主に使っているのは「山スキー」の用具です。
 「山スキー」では板はゲレンデ用の物とあまり違いがありません。ゲレンデ用の板を利用している人も多くいます。山スキー用の板は軽量の物が多く、先端に引っぱったりする時のための穴があいていたり、テールにシールを固定するための溝があったりして使いやすくなっている物もあります。
 ビンディングは登りは踵の上下する山スキー用の用具が必要です。滑るときは踵を固定すればゲレンデ用と変わらず、セイフティー機能も十分で、スキー靴でも使えます。滑降技術も同じです。
 「テレマークスキー」では、板はクロスカントリースキー的なやや細くて長めの板が多くて、ビンディングや靴も専用の物を使います。滑降技術もテレマークターン等少し特殊な技術を使います。 
ブラックダイアモンド ヌーニョ+リーバZコンプキット 鍋倉山山頂 テレマークスキー
 最近どんぐりでもテレマークスキーの人がだんだん増えてきてとても楽しいということなので、04〜05シーズンの始めにテレマークスキー一式を購入しました。

テレマーク板  ブラックダイアモンド ヌーニョ 167cm 103-73-97
ビンディング ブラックダイアモンド リーバZコンプキット 
(1/2ペアで2100g)
 最近のテレマークスキーは太めのカービングの板になってきてアルペンの山スキーの板とほとんど変わりません。バインディングも昔の3ピンではなくてケーブルビンディングが主流になりあまり軽くありません。もっと軽量化できると思っていたのにちょっと誤算。
 実際に滑ってみて感じたのは、この板でアルペンターンをしても全然問題がないこと。アルペンターンで滑れてしまうので、なかなかテレマークターンがうまくなりません。
 
テレマークブーツ スカルパT2プラスフィット 
(サイズ6で片足1340g)
 山スキー兼用靴より少し軽いですが、プラスフィットインナーが軽いのでシェルの重さはそれほど変わらない。熱形成式のプラスフィットインナーは軽量で足にもあって快適です。

シール  ブラックダイアモンド ナイロンスタンダード95mm
 カット後チートシートと袋もあわせて603g。アセンションのシールは糊の粘着力が弱くなったとか聞いていましたが特に問題はありませんでした。スタンダードタイプ(貼り流し式)の方がコンパクトで、トップはワイヤー式のフックが縫いつけてあるのもいい。メッシュタイプのチートシートが付属しています。

       テレマークスキーについて詳しく


フォルクル スノーウルフ 氷ノ山で

山スキー板(アルパインツーリングスキー)

フォルクル スノーウルフ 170cm 113−76−100
フリッチ ディアミール エクスプローラー(別売スキーブレーキも含めて1/2ペアで2250g)

 テレマークスキーだけではちょっと不安なので、05〜06シーズンの始めに新しいアルペンの山スキー板を購入しました。前の板よりかなり太めになりましたが山スキー用の軽量の板なので総重量は軽くなりました。ただ、ビンディングが重たいのでテレマークスキーよりは重たくなりました。
 専用のシールが付属していて、前後を専用の留具で固定するので行動中に剥がれるようことはないという事ですが、糊はブラックダイアモンドに比べたら粘着力がかなり弱そう。
 トップに大きな穴があるのもいいですが、シールの固定金具になっているのでシールをつけた状態ではふさがっています。
ブラックダイヤモンド スティグマ

ブラックダイヤモンド スティグマ 166cm
     120−79−106
フリッチ ディアミール エクスプローラー

 まわりの人の板がどんどん太くファットスキーになっていくので、パウダー用にちょっと太めの板を買いました。センター79mmなのでセミファットと言えなくもありませんが、中途半端な太さで滑りはそれほど変わらない感じ。個人的な好みで言えば、もっと細くて軽快な板が好きです。ファットスキーを使えば新雪悪雪も簡単に滑れるようですが、それではあまり面白く無さそう。





  
これまで使ってきた山スキー板

シール







右から
フォルクルスノーウルフに付属のシール
 トップのプラスチックの部分をスキー板の穴にはめこみます。接着面に貼り付けるシートが付属。説明書では接着面どおしを貼り付けないようにとのことでした。コールテックス製ですが、アセンション等と比べると接着力がかなり弱そうな感じです。テールのプラスチック製留め具は2年ほどで壊れてしまいました。

ブラックダイヤモンドスティグマ用
ブラックダイヤモンド グライドライト スタンダード
 ブラックダイヤモンドにはアセンションとグライドライトの2つのブランドがありますが、グライドライトの方が薄くて軽量、糊はアセンションの方が強力なようです。スキーのサイドカーブに合わせて付属のカッターでカットします。
 シールの後ろも固定するクリップフィックスタイプと後ろは固定しない張り流し式のスタンダードがありますが、張り流し式の方が軽量でコンパクトなのでそちらを使っています。ただ、張り流し式だと山行中に剥がれてしまった場合、再装着が難しい場合もありますので、初心者の人はクリップ式の方がいいかもしれません。

テレマークスキー ブラックダイヤモンド ヌーニョ用
ブラックダイアモンド アセンション ナイロンスタンダード95mm
 カット後チートシートと袋もあわせて603g。スタンダードタイプ(貼り流し式)の方がコンパクトで、トップはワイヤー式のフックが縫いつけてあるのもいい。メッシュタイプのチートシートが付属しています。

シールの夏の保管は冷蔵庫で!
 最近のシールは次の年になると糊がベトベトになってしまうのがあるようですが、mixiのテレマークスキーのフォーラムに「シールのシーズンオフの保管はクッキングシートに貼り付けて冷蔵庫で」と書いてあったので試してみましたがなかなか良好です。シーズン中のメッシュのチートシートは剥がして買った時に貼ってあった紙のシートに貼ればいいのですが、紙のシートを捨ててしまった場合は料理用のクッキングシートが値段も安くて(スーパーで200円くらいで売ってます。)ちょうどいいみたいです。

ビンディング

  フリッチディアミールU



フリッチ ディアミール チタナールU
 
最近購入する人はほとんどディアミールを選んでいるようです。ステップインではきやすく、歩行と滑降の切り替えやクライミングサポート(登高支柱)3段の切り替え等をすべてストック操作で行え、操作性は抜群です。
 写真はスキーアイゼンを着けて、クライミングサポート2段目にした状態。

 最近は超軽量のダイナフィットTLTビンディングを使う人も増えてきましたが、ブーツもTLT対応の物が必要です。
アルパイントレッカー

アルパイントレッカー
 
登りの時だけゲレンデ用のバインディングにはめて使う補助装置。滑る時は取り外して本来のバインディングで滑ります。
 クライミングサポートも付いていますが、操作はちょっと難しい。スキーアイゼンがないのと、靴が雪面からちょっと高くなりすぎて安定が悪そうなので、シビアな登高には向かないと思います。2コで1240g。
スキーアイゼン


スキーアイゼン(クトー)


 シールと兼用する事によって、特にアイスバーン等では威力を発揮します。右がディアミール用。280g。左がジルブレッタ用。190g。
 スキー板の太さがセンターで80mm以上だとワイド用のスキーアイゼンが必要です。
ブラックダイアモンドフリックロックポール

フリックロックポールを分解した状態 内側のポール2本をつなぐとゾンデ棒になります
ストック

ブラックダイアモンド セルフアレストフリックロックポール

 ワンタッチ式で長さを調節できます。
 下は分解した状態。内側のポール2本を
継げるとゾンデ棒になります。
ピックは取り外し可能。ラッセル用の大きなリングも付属。
 2段伸縮式であまり短くならないのと、ちょっと重くてバランスが悪いのがやや難点。2本で760g。



ストックについてのヒント!
 修理用のビニールテープやガムテープを巻き付けておくとシールのはがれ等のトラブルにすぐ対応できて便利です。登りでストックを短く持つ時のグリップにもなります。
 また、グリップ部にコンパス(磁石)を付けておくと行動中にいつでも見ることができて便利です。
ブラックダイヤモンド エクスペディション
 
 3段伸縮式で持ち運びに便利です。2本で610g。


 シール登高で4月の立山室堂周辺を登る。先頭はディナスタースーパーイエティ+フリッチディアミールU、兼用靴はスカルパデナリ。前から2人目はアルパイントレッカーを使用。


山スキー兼用靴
  

スカルパ アヴァント  
 ノルディカTR9が5年くらい使って色々と不具合が出てきたので、2004年3月にシーズン途中でしたが仕方なく新しい兼用靴を購入しました。
 TR9と比べると幅が少し狭く、ふくらはぎあたりも細くてちょっと窮屈ですが、靴を履いたり脱いだりするのはとても楽です。TR9では足がなかなか入らなくて履くだけで苦労していたのが何だったのかという感じ。滑降性能もなかなか快適です。
 アヴァントにはノーマルインナーモデルしかないのですが、足にぴったり。買ってすぐに山中1泊のツアーに行きましたが、靴擦れもなく快適です。
サイズ6で片足1650g。
これまで使ってきた兼用靴




その他の装備
   雪スコップ、雪崩ビーコン、トランシーバー 

雪スコップ
ブラックダイアモンド スキーショベル
 雪スコップは雪崩対策の他、雪洞を掘ったりと多目的に使えるので一人一本は持ちたい必携装備です。写真はアルミとジュラルミン製で560g。 

雪崩ビーコン

 新雪を滑るには必携。値段もかなり安くなってきました。写真はカモシカスポーツで購入したピープス457オプチ。220g。

トランシーバー
 最近は携帯電話でたいていのエリアは通じますが、アマチュア無線のトランシーバーも是非持ちたい。

 雪崩ビーコン・スコップ・ゾンデ棒の3点は雪崩対策のため、山スキーの基本装備と言われています。ゾンデ棒については兼用できるストックもありますが、組み立てるのに手間がかかるのと長さが短いため、専用の物を持って行った方が確実です。

ゾンデ棒ゾンデ棒
サレワ クイックゾンデ
 材質・長さ等色々な物があり軽量化されてきていますが、長さは3mくらいはあった方がよさそうです。

ビーコンの機種
 左からマムートバリフォックス(デジタル)、オルトボックスF1(アナログ、どんぐりの共同装備)、オルトボックスX1(デジタル)、ピープス451(アナログ),アクセストラッカー(デジタル)
スノーソー G3 BoneSaw

 弱層テストでコンプレッションテストをする時にスノーソーがあれば便利です。全国労山の雪崩講習会でショベルコンプレッションテストの講習をうけてから、すぐに購入しました。重さも軽い物だし、雪洞を掘ったりブロックを切り出したりと多目的に使えるので是非持ちたい装備です。
 写真はG3のボーンソー。雪の結晶観察用の目盛りやメジャーにも使えて便利。ケースも含めて267g。


   ショベルコンプレッションテスト
ザック ワンドイ53、ツェルト、補助ロープ

ザック
ミレー ワンドイ53
 小屋泊まりでも50リットルくらいのザックはほしい。1840g。

ツェルト
IBSウルトラライトツェルト2〜3人用
 
ツェルトも非常用に必ず必要。480g。

補助ロープ
 非常用に8mm×20mくらいあればいいかな。980g。

山スキー板を支柱にしてツェルトを張る 
山スキー板を支柱にしてツェルトを張る。トップの穴が役に立ちました。


ピッケル、アイゼン、アルパインボッドハーネス

ピッケル
シャルレモザー スーパーモンブラン(古い!)
 それなりのコースに行くときには。860g。(60cm)

アイゼン
カジタ12本爪 ワンタッチ式
 登山用アイゼンは初心者にも必携。スキー靴やスノーボードのハードブーツにも取り付けられます。1140g。

ハーネス
ブラックダイアモンド アルパインボットハーネス
 軽量・コンパクトですが大きなショックのかかるフリークライミングには向かない。390g。
その他の小物色々

その他の小物

 サブザック、帽子、サングラス、ゴーグル、オーバーミトン、手袋、テルモス、コンロ、コッヘル、ナイフ、呼び子、コンパス、ヘッドランプ、カラビナ、シュリンゲ等。

 サングラスはOAKLEYのスポーツグラスを使っていますが、汗をかいても曇らなくて快適です。

 その他、写真はありませんがゴアテックスのジャケット、オーバーパンツ、ウールか新素材の下着、スパッツ、高度計、医薬品、日焼け止めクリーム、修理具等が必要です。


       
山スキー装備表
eTrex Venture

GPSレシーバー
Garmin eTrex Venture
 ハンディGPSも最近は色々な機種がでてますが、Garmin社製は比較的パソコンとの接続が簡単。地図閲覧ソフト「カシミール」等を使ってデータのやりとりができます。パソコン接続用ケーブルも付属していますが、シリアル接続用なので、シリアル端子のない最近のパソコンだと別途USB変換アダプター等が必要です。
150g。24800円。オンラインショッピングで購入しました。

新しく購入した装備

  



ピッケル CAMP HL250
 50cmで260gと超軽量。長さもこれくらいが使いよさそう。
ジュラルミン製ヘッドなので、岩をたたくような使い方には向きません。
ブラックダイヤモンド ベノムアッズ 50cm
 
 
岩稜縦走等にも使えるように、ちょっとしっかりしたピッケルも買いました。付属のリーシュも含めて530g。


ゾンデ棒 ブラックダイアモンド ガイドプローブ3m
 1cm刻みの目盛りがついています。ゾンデ棒も色々種類がありますが長さは3mくらいあった方が良さそう。袋も含めて338g。
  トランシーバー  スタンダード VX−2
 144/430MHzデュアルバンド、送信出力1.5Wで重量132gと超軽量コンパクトです。
ラジオやテレビ音声も聞けますが、標準アンテナだと近郊の山では十分ですがアルプス方面ではちょっと入りにくい。日本橋で21000円でした。
 アマチュア無線のトランシーバーを使う時は必ず免許とコールサインを取得して法令に従って運用するようにしましょう。


 その他あまり関係のない物もありますが

GIANT  XtC-970

マウンテンバイク
GIANT XtC-970
 アプローチの林道用に購入。リアエアサスのWサスクロカンタイプ。
でもスキーを背負って走るのはなかなか難しい。
エクストレイル Sドライビングギア
山スキークラブMSCどんぐり


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